「好きなことを仕事にする」ということの本当の意味

2019年1月12日

「ビールを飲むのが好きだからビール会社に入りたい」というのはダメ

音楽関連の仕事で食べて行きたいです。
ゲームが死ぬほど好きなんで、ゲーム開発会社に入りたいな。
「ガンダム命」なんで、ホントはバンダイ以外考えられないです。
やっぱり、広告がカッコいいっす。CMづくりに関わりたいっす。
映画が好きなんで、映画会社かなぁ?
ブライダルに入って、いつも花嫁さんに関わっていたい。

就職したい業界や企業はどこ?

 3月に入って公式に企業説明会が解禁となり、今年の新卒採用選考が本格的に始まった。上に書いてあるのはほぼ実話ばかりなのだが、大学3年生に志望する業界や企業について本音のところを尋ねてみると、このような答えが返ってくることが多い。
 そう言った後にはたいてい「もちろん夢みたいなことばかり言ってられませんけどね」という但し書きが付く。

消費者として好きなものに生産者として関わりたい

好きなことを仕事にする。

 それが彼らの夢なのだろう。しかし、それが叶ったとしても必ずしも幸せになれるとは限らない。
 彼らの多くは、「消費者」としての自分が好きなものに、「生産者」としての立場で関わることができればいいなと単純に夢見ているだけだからだ。

お菓子を食べるのが好きだから製菓業界

 理系女子学生の志望先として人気のある業界の筆頭格は、製菓業界である。具体的な企業名では、森永製菓や明治製菓などが上位に出てくる。お菓子を食べるのが好きなので、お菓子づくりに携わることができればハッピーということなのだろう。小学生低学年女子の「将来なりたい職業」のトップが「ケーキ屋さん」だから、根っこのところは成人しても変わっていないようだ。
 しかし、研究開発の先端性や重要度、そしてそれが反映される研究者や技術者の待遇を考えると、製菓業界はどう考えても中の下といったところだろう。トップクラスの製薬やバイオ、航空宇宙やエネルギーなどに較べると大きく差をつけられている。
 それでも、お菓子屋さんになりたいのである。本音では。

好きなビールは仕事抜きで飲んだ方が良い

 かく言う私も学生時代、ビール会社に入れたら良いなと夢想していた。キリンビールの人から「うちの営業は、毎晩飲食店を回ってうちのビールをたくさん飲むのが仕事みたいなもんだよ」と聞かされたことがあったからだ。「大好きなビールを好きなだけ飲めてそれが仕事になるなんて最高!」なんて思っていたのだから、いま考えると相当な間抜けだ。
 夜中まで得意先の顔を伺いながら営業スマイルを浮かべてビールを飲んでもおいしいわけがない。ましてや、そんな生活を続けていたら、家庭も健康もあったもんじゃないだろう。また、自分の会社の銘柄以外は表で堂々と飲めなくなるなんて、ビール好きからしたらむしろ地獄だ。美味しいものなら、ライバル企業のブランドだって飲み比べしてみたいではないか。
 そして、ビール会社に入ったとしても、営業に配属されるとは限らない。経理や総務に配属されたとしたら、ビール会社だろうがおもちゃメーカーだろうが仕事に大差はないだろう。

好きなものでも、開発・生産・販売という仕事は別問題

 今ならよくわかる。消費者として好きなモノやサービスがあったとしても、それの開発・生産・販売という仕事が好きになれるかどうか、あるいは得意かどうかは全く別問題だということである。

音楽が好きだから、ガンダムが好きだから、アニメが好きだから、アイドルが好きだから、ゲームが好きだから、テレビが好きだから、映画が好きだから、花嫁さんに憧れていたから、ビールをたくさん飲めるから・・・。

 それらには、消費者として関われば良いし、むしろその方がはるかに幸せなのではないだろうか。

結婚式にどれだけお金を使わせるかが仕事

 ブライダル業界で働いていた知人がいた。彼によれば、「結婚式にどれだけお金を使わせることができるかで仕事の評価が決まる」とのことだった。たかが風船を飛ばすだけで数万円も請求するような暴利のオプションがたくさんあり、それらをどれだけ付けさせて式の費用をかさ上げしていくことができるかが、営業の腕の見せ所だったらしい。
 「一生に一回のことですし」「花嫁が主役ですから」「素敵です!」。これらが、殺し文句だったそうだ。「花嫁の幸せ」というものは、財布の紐を緩めさせる絶大な効果を持っているという理由のみで大事にされているかのようだった。
 ちなみにその知人は今はまったく別の業界に転職して楽しそうに働いている。年収は幾分下がったとのことだったが。

人生観や価値観に合う仕事が好きな仕事

 就職や転職の際には、仕事そのものの内容が自分の人生観や価値観と相性がよいと思われる業界や企業、あるいは職業や職種を探した方が良いのではないだろうか。もちろん自分の特徴や能力とも相談した上で、である。

人生観や価値観に合うこと(=好きなこと)を仕事にする。

 という風に考えてみてはいかがだろうか。